胡蝶の夢
BL・JUNE関連で緩~く感想や思いの丈などを綴っています。
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HOME/木原音瀬 感想
木原音瀬先生の『HOME』感想です。ずいぶん前に新装版を買ってから本棚で眠っていたのを引っ張り出してきました。ステイホームで読書が捗ります。ではネタバレ必至の感想サクッと行きます!
何を考えているかわからない攻め×悶々と悩む受けです!木原先生鉄板?の組合せですね~!いくら受けの青木篤視点で話が進んでいくにしたって、攻めの黒田直巳の考えが読めなくて不安になります。
一難去ってまた一難で、ここがどん底かと思いきやさらなる地獄へ突き落とされるような展開に気分がドーンと沈みます。残りページこれだけしかないのにどう収まるの?!大丈夫?ちゃんとくっつく?いつかみたいにBADエンドで終わったりしないよね?と焦燥感に駆られる。
一番驚いたのは、直巳が伊沢邦彦の顔に整形してしまうこと!ええ~っ!?別の本で体を作り変えるのもあったけど、それ以前に顔も変えちゃう話もやってたんか~愛が重い!!顔をレベルダウンさせるなんて、新庄かよ…と理由は違うしそれは置いといて。伊沢は篤の昔の想い人で、この人に関しても物語の冒頭でなかなかヘビーな展開が繰り広げられます。
篤には隆という双子の弟がいて、学生のころ伊沢に家庭教師についてもらっていた。言いつけを守らない奔放な弟と真面目な兄。篤は人から好かれる弟と比べられるのが嫌でたまらなかった。そんな篤の気持ちを初めてわかってくれた伊沢に惹かれていくが、想いをを告げられないまま数年後会ったときには弟と付き合っていた。
いやそんなことある!?しかも、一卵性双生児ですよ。あのとき想いを伝えていたら…と本人も言っていますが可能性を考えられずにはいられませんよね。ここからスタートするので篤は伊沢のことを後までかなり引きずっています。というか生涯忘れられません。
で、その伊沢の甥っ子が黒田直巳なんですね。伊沢の亡くなった姉の子。当時直巳は小学4年生で篤との歳の差は15。伊沢と隆は養子縁組をしていたので、戸籍上では親戚になるけど血は繋がっていない。
そこまでややこしくないけど関係を洗っておかないと頭がこんがらがる。作中で何人も亡くなってるけど、相続とか大変そうだな。養子縁組してるしある程度資産があると権利関係で揉めそう。話の本筋には関係ないけどふとそんなことを思いました…。
親代わりの篤と引き取られた直巳が何をきっかけにそういう関係が始まるかというと。33歳になった篤が母親から見合いを薦められたことを知って、酔った勢いで直巳が篤を襲う。こわい!!今まで挨拶する以外ほとんど会話してこなかった同性の同居人から突然強姦される恐怖といったら計り知れません。
それを境に徐々に距離を詰めてくる直巳とまんざらでもなくなってくる篤。いい感じに恋人関係になっていくのかなーと思っていた矢先!直巳がバイク事故に遭い左目と左耳を失う。ええ~っ!(2回目)そんな、やっと上手くいきそうなところにまた新たな障壁が…。
二人がここまでの関係になる間も直巳の気持ちがわからず散々振り回されて、心身ともに病んでいた篤を支えてくれていたのが十年来の親友、立原でした。彼が“事故に遭った直巳はいっそ死ねばよかった”とまで言い放ったのにはビックリ。こういうとき木原先生のパワーワードっていうか、インパクトのある台詞は胸を打ちます。
いろいろ省いてるから立原が薄情に感じるかもしれませんが、小4から18になるまで義理の甥を育てて会社も辞めたりあそこまで献身した篤がこれ以上赤の他人である直巳に人生を左右されることないっていうのも十分わかります。好きって気持ちがなんとか繋ぎとめてるけど、それがなくなったら…。
まさに懸念どおり、事故後の直巳は自暴自棄になり自殺しようとします。間一髪で篤がなんとか助け出しますが、なぜ死なせてくれないんだという直巳。生きていても仕方ない、立原の言う通り事故で死んでいればもう誰にも迷惑をかけずに済むと。いやもう色々ありすぎだろう!!早く幸せになりたい!幸せにしてくれよ!恋に障害はつきものとはいえ多すぎでしょ!
奇跡的に快復を遂げたものの左目と左耳は機能を失い、外へもめっきり出なくなり心を閉ざす直巳。これまでに増して気難しさに拍車がかかり一緒に住んでいた家も出て行ってしまう。篤も心労が蓄積され、アルコールにも手を出し始め中毒になっていく。どうすんのこれ!どう収拾つけるの!もう駄目なのか…?というところで顔を変えた直巳が家に戻ってくる。もとい篤の首を絞めてくる!
アルコール依存症で昼間から飲んだくれていた篤は、突然現れた昔の想い人を死神と勘違いしまだ連れて逝かないで、直巳に伝えられていないことがあるから、と本音を吐露します。それが直巳本人とは知らずに。ここがもう怒涛の展開でドアのチェーンをぶっ壊して立原が乱入してくるわで笑うしかない。立原が篤のためを思って婚約したと直巳に言っていたのが嘘だとわかって、ようやく和解する二人。
こ、これで、終わり……!!昨日の夜から読み始めて半日で一気に読了してしまいました。くっつくまでに紆余曲折あってくっついてからも次から次へと問題が起きて…どこがサクッと感想じゃ。サクッとなんて無理だったんじゃ。
木原先生のヤバいやつシリーズが恐ろしい。攻めも受けも、相手のためならどんなことをしても厭わない思い切りと行動力と愛の重さが。あと何考えてるかわからない攻めっていうのも箱の中をはじめ安定感のあるこわさが読んでてドキドキします。
相変わらずの余韻を引く終わり方に、きょうは思いを馳せながら眠りにつこうと思います。
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