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胡蝶の夢

BL・JUNE関連で緩~く感想や思いの丈などを綴っています。

   

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金環蝕 短編集1/山藍紫姫子 感想

 金環蝕の感想です。私が古本屋で見つけたのは短編集だったのですが、ちょうどいい長さで読みやすかったです。短編集は金環蝕の他にもホラータッチのお話も入ってて続きが気になり、どんどんページをめくっていってしまいました。印象深いものばかりで、読んでから日が経っても内容をよく覚えています(笑)というわけでやっと感想をば。


『金環蝕』
 メルローズは夏になるとクライシスの不夜城へと招かれる。そこにはかつての上官であるカート・フレグランス大佐がいて…。タイトルがとても言い得て妙でした。戦争が終わって行く当てのないカートは生きていくために男娼となり、クライシスに買い上げられて彼のもとで男妾として過ごすことになるのですが…クライシスのやり方が汚い!相手を凌辱して楽しむ…っていうか好きな子には意地悪したくなるって感じです。
 メルローズのカートに対する想いも全部お見通しで、それを知ったうえで抱かせるように仕組むなんて本当に趣味がいいです。メルローズとカートはいいところまでいくのですが…カートは心も体もすっかりクライシスに蝕まれていたのでした。
 この三方のねじれた関係がとっても好きです。行き場のない想いがたまりません。結局メルローズは地元で結婚して子どもも生まれるのですが、心の奥深くには夏城でのことが忘れられず、次の年もまた城へ出かける支度をする…という終わりのない結末がすごく魅力的な物語でした。
 金環蝕は完全版も出ていて、そちらの感想は別記事にてどうぞ。

『タイロンの呪い』
 古代遺跡が舞台で、現地にいるある美青年がそれぞれ自分の好みの容姿に見えるという不思議なお話。性染色体が絡んできます。通常人間の女はXX、男はXYですが何らかの影響でYYの遺伝子を持った個体が生まれたら…?というのを想像した面白い物語でした。
 ちょっと気になって遺伝について調べてみたら、YYだと生存できないそうですね。生存に必要な遺伝子情報はXに含まれているのでYのみだと生きて誕生できないとか。現実にはこういうことみたいですけど、タイプの人間に見えちゃうっていう発想がすごく粋だと思いました。
 BLな部分については、主人公もそんな美青年にいつの間にか魅入られてしまうんですね~初めは一緒に現場へ行く仲間とどうこうあるのかとばかり。謎の青年に関する一本のミステリーとしても楽しめました。

『人魚の囁き』
 まず、扉絵から怖い!絵からしてそれっぽい雰囲気全開ですが本当にホラーとは…。伝説の人魚を手に入れた主人公はその人魚を迎えにきた皇子と…というふうに序盤はいい感じで進んでいきます。が、人魚の肉を喰らうと不老不死になるというのを試したくて仕方がない主人公は…ああ!カニバリズム ダメ、絶対!
 言い伝え通り不老不死を手に入れた主人公だったが…血肉はすっかり枯れ果てて小さな小さな心臓だけになったその姿は大変哀れなのでした…。
 普通に怖いです。読んでてゾクゾクしてしまいました。ふと某錬金術師に出てくるエンヴィーを思い出したのは内緒です。

『闇の呼ぶ声』
 これまたタイトルが怖い。一体どこから何が呼んでるの?っていう。この短編集のうち一番話も長くて本格的なホラーになってます。転校生の孝彦と周りにオカマと言われている聡は密かに体の関係を持つようになるが…。ある日孝彦とその他の友だちで夜の学校を探検することになるのですが、その間で容赦なく人が亡くなっていきます
 孝彦は生き残れるのか、探検に参加してない聡は…と思っていたところに満を持して聡の登場です。初めの部屋に戻ってきた孝彦だったが、そこには何故か聡の姿が。すると内側から開くはずのない扉が聡の手によって開かれ、無事に外の世界に出られるのでした。
 その昔学校で亡くなってしまった生徒へ花を手向けていた心の優しい聡だからこそ成し得たこと…なのかな。二人の恋愛要素もあったけど全編通してホラーでした。

『虜』
 短いのにエロたっぷりでした。幼馴染みにキスしているところを後輩の神崎隠し撮りされて、主人公の環は脅迫されてしまう。試験管プレイです。昼間の学校で、しかも実験道具でなんて破廉恥なー!だんだんと快感を覚えていくんですね、わかります。大好きですそういうの。

『妖精王子東京へ行く』
 また王子というのは置いておいて、ほのぼの(?)ファンタジーです。海外で妖精を捕まえた青年が、妖精リーンに色々いたずらしちゃうお話。わざわざ鳥かごまで用意してそこから筆で…なんて何やってるんですかあなた、と突っ込みたくなりますが気持ちはわからないでもないです(笑)
 世の中には因果応報というものがありまして、突然呪いが発動して巨大化したリーンは武彦よりも背丈が大きくなり…リバでした。でもこれはこれでおいしかったです。ずっとトーンの暗い話ばかりだったので、最後明るく終わってすっきりしました。


 全編通してSF・ファンタジー調の物語が多かったです。短編集なだけあって一つひとつの話は短く、テンポよく読めました。こういうテイストの新作が読みたいものです。
 そういえば先日発売された、『クリームな僕』に妖精王子の話が収録されていましたね。アニメイトの新刊コーナーで偶然山藍先生の本を見つけて手に取り、表紙を見て驚きました(笑)ね、猫耳!こちらも短編集だそうで、機会があれば感想書きたいと思います。

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