胡蝶の夢
BL・JUNE関連で緩~く感想や思いの丈などを綴っています。
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美しいこと/木原音瀬 感想
木原音瀬著・講談社文庫版『美しいこと』読了しました。え、ここで終わり―!と思わざるを得ません。では初っ端からネタバレ満載で感想いきます。
日常の憂さ晴らしに女装をするイケメンで仕事もできる松岡洋介と、いまいち冴えないが根はやさしい寛末基文のお話。
ヘタレ攻×強気受とカテゴリー化してしまえばそれまでですが、そんなんじゃ表しきれないほどの紆余曲折があります。
なんといっても葛藤ですよ、葛藤!女だと思って全力でアプローチしてた相手がまさか男だなんて……そりゃ青くもなります。
まして超がつくような奥手の寛末が、松岡のかりそめの姿である江藤葉子には積極的だったぶん本気さがうかがえます。
その二人が徐々に距離を縮めていく過程が丁寧に描かれていただけに、カミングアウト後の互いの心情が痛いほど感じられました。
煮え切らない寛末に読んでいるほうも焦れます。それで結局どうするんだ、男なら白黒はっきりさせろ!とまでは言いませんがけじめはつけてほしいものです。
あげくの果てに“どうして君がこんなに気になるのか、教えてほしい”などと松岡本人に問う始末。この期に及んで何を言い出すかこやつは!と突っ込まずにはいられません。
ずっと自分から松岡を遠ざけていたのに、別の女と付き合ってみて気付いたみたいです。松岡への本当の想いを。
気持ちを切り替え始めていた松岡にしてみれば、今さらそんなこと言われても困るのは当然です。
ずっと好きで、相手の気を引こうと努力した。それでも振り向いてもらえそうにないから諦めようとした。
決めたところで人間すっきり心を入れ替えられるわけもなく……そこへ好きだと思うと告げられた。
確証が早く欲しい。そんな曖昧な感情では充たされない。
ううっ……なんと余韻の残る終わり方でしょう。なまじどちらの気持ちもわかるだけに読んでいて複雑な気分になります。
途中を省略してるので終わりの寛末がとんでもない野郎に思われるかもしれませんが、松岡視点だとお考えください(笑)
寛末だって悩んだと思います。あれだけ好きだったのに相手が実は男で、でも心に惹かれていたのは事実で。どう決着をつければよいのか考え続けていました。
ようやっと展開がプラスに向き始めたところで切るとは、文庫版も憎いことをしてくれます。
実はこの『美しいこと」にはまだ続きがあって、新書のほうでは松岡と寛末の物語の行く末が読めるそうですよ。
別に宣伝ではありません(笑)なぜ伝聞調なのかと言えば、自分も読んだことがないからです……!
以前からこの作品には興味があって、ホーリーノベルズ版を買おうか悩んでいたところに文庫版の発売を耳にしてこちらの購入に至りました。
講談社文庫ですし、あくまで一般向けというところでまとめたんでしょうか。それにしても続きが気になるので、新書版買ってしまいそうです。
読んでいて一番印象に残ったのが、
“オカマでもゲイでもない君が、僕のことだけ特別に好きになった。そんな都合のいい話が本当にあるんだろうか”
という寛末の質問とも独り言ともとれないこの台詞です。この世のBLのほとんどに投げかけられたと言ってもいい大きなテーマですよ。
解説の宮木さんも述べられてますが、男同士の壁にそれほど疑問も葛藤もないことが多いんですよね。
それを描いてしまえば夢がないし、現実味を帯びてエンターテイメント性を失ってしまうせいもあると思うのです。
でもあえて真正面からそれらを表現することで、物語の深みをより増すことになるのでしょう。
小説の感想のはずがBL談義になってしまいました。あらすじも含めた長い感想は改めて別の記事にするとします。それでは。
以下拍手お返事。反転してます。
ザ・貴腐人さん
そうですね、ストーリー面で既に痛いので物理的ともなると二重に苦しいですもんね。
私はまだ木原さんの作品を他にあまり読んだことがないのですが、箱の中がいいきっかけになったのでこれから楽しみたいと思っています。
日常の憂さ晴らしに女装をするイケメンで仕事もできる松岡洋介と、いまいち冴えないが根はやさしい寛末基文のお話。
ヘタレ攻×強気受とカテゴリー化してしまえばそれまでですが、そんなんじゃ表しきれないほどの紆余曲折があります。
なんといっても葛藤ですよ、葛藤!女だと思って全力でアプローチしてた相手がまさか男だなんて……そりゃ青くもなります。
まして超がつくような奥手の寛末が、松岡のかりそめの姿である江藤葉子には積極的だったぶん本気さがうかがえます。
その二人が徐々に距離を縮めていく過程が丁寧に描かれていただけに、カミングアウト後の互いの心情が痛いほど感じられました。
煮え切らない寛末に読んでいるほうも焦れます。それで結局どうするんだ、男なら白黒はっきりさせろ!とまでは言いませんがけじめはつけてほしいものです。
あげくの果てに“どうして君がこんなに気になるのか、教えてほしい”などと松岡本人に問う始末。この期に及んで何を言い出すかこやつは!と突っ込まずにはいられません。
ずっと自分から松岡を遠ざけていたのに、別の女と付き合ってみて気付いたみたいです。松岡への本当の想いを。
気持ちを切り替え始めていた松岡にしてみれば、今さらそんなこと言われても困るのは当然です。
ずっと好きで、相手の気を引こうと努力した。それでも振り向いてもらえそうにないから諦めようとした。
決めたところで人間すっきり心を入れ替えられるわけもなく……そこへ好きだと思うと告げられた。
確証が早く欲しい。そんな曖昧な感情では充たされない。
ううっ……なんと余韻の残る終わり方でしょう。なまじどちらの気持ちもわかるだけに読んでいて複雑な気分になります。
途中を省略してるので終わりの寛末がとんでもない野郎に思われるかもしれませんが、松岡視点だとお考えください(笑)
寛末だって悩んだと思います。あれだけ好きだったのに相手が実は男で、でも心に惹かれていたのは事実で。どう決着をつければよいのか考え続けていました。
ようやっと展開がプラスに向き始めたところで切るとは、文庫版も憎いことをしてくれます。
実はこの『美しいこと」にはまだ続きがあって、新書のほうでは松岡と寛末の物語の行く末が読めるそうですよ。
別に宣伝ではありません(笑)なぜ伝聞調なのかと言えば、自分も読んだことがないからです……!
以前からこの作品には興味があって、ホーリーノベルズ版を買おうか悩んでいたところに文庫版の発売を耳にしてこちらの購入に至りました。
講談社文庫ですし、あくまで一般向けというところでまとめたんでしょうか。それにしても続きが気になるので、新書版買ってしまいそうです。
読んでいて一番印象に残ったのが、
“オカマでもゲイでもない君が、僕のことだけ特別に好きになった。そんな都合のいい話が本当にあるんだろうか”
という寛末の質問とも独り言ともとれないこの台詞です。この世のBLのほとんどに投げかけられたと言ってもいい大きなテーマですよ。
解説の宮木さんも述べられてますが、男同士の壁にそれほど疑問も葛藤もないことが多いんですよね。
それを描いてしまえば夢がないし、現実味を帯びてエンターテイメント性を失ってしまうせいもあると思うのです。
でもあえて真正面からそれらを表現することで、物語の深みをより増すことになるのでしょう。
小説の感想のはずがBL談義になってしまいました。あらすじも含めた長い感想は改めて別の記事にするとします。それでは。
以下拍手お返事。反転してます。
ザ・貴腐人さん
そうですね、ストーリー面で既に痛いので物理的ともなると二重に苦しいですもんね。
私はまだ木原さんの作品を他にあまり読んだことがないのですが、箱の中がいいきっかけになったのでこれから楽しみたいと思っています。
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