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胡蝶の夢

BL・JUNE関連で緩~く感想や思いの丈などを綴っています。

   

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スロウ・ダメージ 生稲ルート感想

 スロウ・ダメージ生稲ルート感想です!平日はゲームプレイのまとまった時間がとれないので感想を書き溜めておくことにしました。少しずつ発出していきます~ネタバレ大ありなのでご注意を⚠

 スロダメで注目すべき点の一つが共通ルートのボリューム!オート交えつつゆっくりプレイしてChapter 1終えるまでに約7時間かかりました。ドラマダと同じくらいかな?
 そもそもどこまでを共通とするか悩ましいところですが。スロダメはChapterごとにお話が区切られています。公式の画像付きツイートがわかりやすいので是非そちらをご覧ください。

 今回攻略が難しいんだよー!それをネチネチやるのも醍醐味なんですけどね。キラルで今までなかった(よね?)CGのない終わり方もあって、うわー!選択ミスった!と何度もなりました。
 物語に浸っていたのに一部EDで強制的にタイトルに戻されるラキドを思い出したよ。あの情緒もへったくれもなくチャーン♪とタイトル画面に戻ってくるやつ。

 慣れてくるとハイ次ー!となるので、スロダメでも心理パート上手くいかずにend.むかえた時はスッと無心でセーブロードしてました。
 これほどクイックセーブを駆使したことはない。通常のセーブロード画面があるのにどうして?くらいにしか思ってなかった機能が大活躍ですよ!
 セーブロットが気が付いたら結構埋まってて、使い方下手くそなんだよなあ自分;;気に入ったシーンはいくつか保存してあるんだけど後から見てもよくわからないという悲しい事態に。主なシーンは回想モードでちゃんと見られるからいいんだけども。セーブ画面で名前つけられる機能、欲しいな~切実に。ぼやいてないで公式に要望出せばいいのか。
 毎度前置きが長くなってすみません。攻略語りだしたらつい。
■Chapter 1 Fraise 生稲ルート感想
 生稲(いくいな)の創作活動ペンネームが“フレーズ”というからずっと“phrase”を想像してたんだけど、初めに“Fraise”って出とるがな!あんまり見慣れないスペルだなと思ったらフランス語でイチゴの意味なんですね。プレイ後に納得。
 生稲は『ルースト』のブログに印象的な作品を投稿していた花屋で働く幸薄そうな青年。匿名でタクのクリニックに花束を贈っていたのは彼でした。
 『euphoria(ユーフォリア)』の正体がトワだと知った生稲からの贈り物。それを本人に向かって「いらない」とバッサリ言うの、何ともトワらしいというか。生稲にちょっと同情してしまいました。(やり方はストーカーじみてるけど)「言い方ってものがあるでしょ!」ってレイの意見にうんうんと頷いてしまいました。
 そんな生稲の本当の欲望は、“傷の中身が見たい”
 初めのうちは作品の題材を花で済ましていたが、だんだん衝動が抑えられなくなり人を襲うように。それなら、とトワは生稲を“euphoria”の絵のモデルにすることに決めたが……。
 ナイフで切りつけ合う!!例の押し倒しCGキターッ!でも挿入はありませんでした。トワは痛みに快楽を感じるので疑似セックスのようなものです。
 ここで公式サイトのキャラ紹介にいる最後の三人はそういうBAD要員ではないのか~と察する。盛り上がってるシーンなのに冷静に分析すな。
 しかし大丈夫かこれ出血多量で意識失うんじゃ?と見守っていたら案の定危険な状態になり、すんでのところでタクorレイ(ルート分岐により異なる)に助けを求め二人とも病院へ運ばれました。部屋が殺人現場じゃないかってくらいすごい血の量だったのでは。

 トワはタクのクリニックへ搬送されますが生稲は『貴之口医院』へ行きました。そこがまたタクルート…の前段、浅倉ルートでChapter 2の舞台となるわけです!Chapterで区切るシステム、新鮮で面白いな!

 euphoriaが毎回こんな命がけなら気が気じゃないよなあ。特にタクは。もちろんレイもだけどトワの絵を楽しみにしてる節もあるからな。
 トワ曰く命くらい張んなきゃ人の本当の欲望なんて見えないらしい。それもそうか……刹那主義!!!
 長い!!生稲でこれだけあるんでChapter 2は記事分けます…。次は浅倉と水野までいけたらいいなーなんとかまとめるぞ!

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スロウ・ダメージ序盤 感想

 ご無沙汰しております、スロダメ絶賛プレイ中です!発表から7年くらい?で延期に延期を重ねようやく発売したので、キラルの!BLゲームを!やってるんだ!という実感を噛みしめています。以下若干ネタバレあり感想など。

 そういえばドラマダ買う時は年齢確認されたけど(もちろんとっくにプレイ可能な年齢)今回はなかったな〜歳とったんだな、と思いました……。
 WindowsのPCゲームですがお間違いないですか?とは聞かれましたが。たしかに、今日日PCゲームやる人少ないんだろうな……。トラブル防止のためにも媒体の確認は大事だよね。
 少し内容に触れると、東京五輪が失敗して貧富の差が拡大し……って設定が何たる悲しいデジャヴ!いつからシナリオ書き始めてたのかわかりませんが現実となりつつあって笑えない。
 あとは主人公のトワが頭もキレるし肝が据わってるのでプレイしてて気持ちが良い。BLゲームは主人公≠自分なので乙女ゲ等とは事情が少し異なりますが、主人公があまりにも突拍子もない言動をした結果こうはならんやろ!って展開になるとすごく萎えてしまうのです。それがないのでストレスなく進められています。
 で、いまは生稲・浅倉・水野・タク・レイまでクリアしました!現在斑目に入ったところです。いや〜、面白い、面白いよスロダメ。心理パートむちゃくちゃムズいけど。チュートリアル見ても、理解が追いつかないしクリアできる気がしね〜!レイまで終わっても未だ辿り着きたいEDに思うようにいけないし。


 人の心の機微が、ささいな言葉や反応の変化でエンディングとして分岐するのは興味深いシステムだと思いました。実際、ほんの少しの態度の違いに傷ついたりするもんですよね……。
 きっと皆さん、スロダメプレイしてると酒!煙草!暴力!飯!ドラッグ!セックス!と叫びたくなりますよ。本当、性癖展覧会だしいろんな趣味の人がいるんだなあともしみじみしてしまいます。
 各ルート感想はちまちま書き進める予定なのでしばしお待ちを〜!

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嫌な奴/木原音瀬 感想

 タイトルから一目惚れしてロクにあらすじもチェックせず、発売を心待ちにしていました。今回も炸裂している木原先生節、刺さりまくり。
 物語中盤を過ぎても杉本が三浦を想う気持ちの欠片も見えてこなくて、それどころか事態は悪いほうへ進むばかり。やきもきする展開には慣れたもので、と言いたいところですが慣れることはないかな!!!

 メリバと一言で収めるには複雑な感情が入り混じります。ハッピーエンドともバッドエンドともとれない結末……と思うのですが感覚が狂っているので一般的には?BLゲームだと考えると?BADな気もします。

 『箱の中』『檻の外』を彷彿とさせる雰囲気です。特に攻の三浦が喜多川のそれと重なります。盲目なまでに一途なところとか、一方的に突っ走るかと思いきや急にしおらしく傷ついてみたりとか。

 堂野をさらに淡白に、非情にしたのが杉本でしょうか。そこまで拘るか?ってくらい嫌ってるので気にしてるのは意識してる証拠なのでは?と思えてきます。そういう憶測が本人にしてみれば一番迷惑なんでしょうが。


 刊行年を見ると『嫌な奴』のが1998年と古いんですね。こちらが前身でしたか。加筆修正版というのも奥付で知ったので、また昔の作品大好きなヤ~ツを発揮してしまいました。JUNEっぽいもの本当に好きで…。

 いわゆる耽美でもなく、かといって昨今のBLらしいBLでもない。講談社文庫から出るくらいなのでむしろ一般小説に近い話の骨太さを持ちつつ読者を裏切らない展開を捻じ込むところが最高です。
 ここまで話の内容にほぼ触れず語ってしまったー。半日で一気に読んだので備忘録感想いきます。

 小学生時代、田舎に転校した杉本和也は傍若無人な三浦恵一と出会う。社会人になり数年が経ったころ三浦が入院したと友人の小野寺から一報があり、過去に嫌な思い出がある杉本は帰郷をためらいつつも見舞いに向かう。そこから始まる奇妙な同居生活。友情、愛情、執着、どれともとれない感情。複雑な関係。

 自分勝手で気に入らないことがあるとすぐ暴力を振るう三浦。出会った頃の印象が強烈に刻まれて、大人になっても抜けることはありません。いくら献身されても、杉本が三浦を“嫌い”なのはそう簡単に変わらなかった。

 もうこれがもどかしくて。いつ何がきっかけで好きになるのか?好きとまではいかなくても気持ちが動くのか?終盤に差し掛かってるのにそもそもくっつくのかさえ怪しくなってきたんだが!?と読んでいて不安に駆られました(笑)

 嫌がられているのをわかっていて居候する三浦と、嫌いにもかかわらずそれを許している杉本。この時点で相当奇妙な関係ですよね。
 相手が自分を嫌っているとわかっていながら、傍にいるのはつらいだろうに。まあやってることとしては不法侵入・ストーカー・強姦など中々ひどいですが。そりゃ嫌がられても仕方ない。
 一方杉本は一緒にいるのが嫌で嫌でたまらない。死ねばいいのにとさえ言うほど。早くいなくなってほしいのに、何度突き放しても戻ってきてしまう。それでも離れられないのって、しんどいですね。


 「お前は、俺に会わないほうがよかったんだろうな」
 「俺もお前に会わないほうがよかったんだろうな。こんなみっともない真似はもうたくさんだ」
 この三浦の台詞…!重ッ!そしてこの作品好きだなと叫びたくなる瞬間でした。攻が受にクソデカ感情抱いてる関係性が大好きなのですがまさしく。それに対して黙り込む杉本との温度差がエグい。

 会わなきゃ関係が生まれることも壊れることもなかった。エ~ッ何それ好きすぎる~。本作の場合壊れまではしてませんが。壊れるほど追い込まれるのもやぶさかではない。いや違う今は間の楔の話をしてるんじゃないんだ!


 閑話休題。杉本はまた行方を眩まそうとしている。そんな折に三浦が杉本の職場=学校にまで乗り込んだのには驚きました。
 愛想を尽かさないんだろうかと疑問が浮かぶも、端から尽かす愛想がないんだと気づく。だって、嫌いだから。それでも自分から離れようとしない男を拒み続けるのは、もう諦めた。
 諦め。ある種受け容れてるとも考えられますが、本人がそう認めない限り友情でも愛情でも何でもない。体しかくれない、と三浦は表現していますがそうだとしても大健闘ですよ…。
 ここまで来ても互いに離れられないのはつまりそういうことですよね。人を好きになるって、愛って、難しい。



以下拍手お返事。2/24てん様。

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灰の月/木原音瀬 感想

 なぜ人は夜に感想を書き始めてしまうのか。散々昼間時間があって何なら読み終わってから5日ほど経っているのに気持ちが収まらず記そうと決めました。木原先生作品の例に漏れず重い展開の連続に、ページをめくる手に汗握る。ではここからネタバレありでいきます~。

 本橋組組長の息子・本橋惣一は、ある事件をきっかけに家の中ですら常にボディガードの嘉藤がいないとままならなくなっていた。嘉藤は尊敬する惣一から強請られるも女しか抱けないと拒み……。

 今回は893ものです。ハッピーエンドとは聞いていたものの、木原先生なのでどのような形なのか戦々恐々としつつ…いきなり結末に触れると、惣一がヤク漬けにされて人格を壊されたあげくブツをちょん切られます。
 えええええ!!!!物語中半ばモノを失いそうになるシーンがあったけど一度免れて安心してたのにいいい!!ち●こ切り落とす展開は間の楔以来だよ…びっくりしちゃった…。
 ぽっと出の男に大事な組長の尊厳を奪われる嘉藤はどんな思いだったか想像に絶します。楔のときはガイがリキの元パートナー(元と表現するのも辛い)だったからまだ…
 いやそういう問題ではない。付き合いの深さに関係なく人の一物を切り落とすもんじゃない。人に取られたくないから、自分のものでいてほしいからといって。
 追い詰められると人って何するかわかりませんね。こわい。

 惣一は嘉藤を思うあまり作り物の胸まで付けます。性嗜好がノーマルで相手にされないのなら物理で自らが女になる、さらには自分の欲を満たすためなら体の構造を変えるのも厭わない。ヤク漬けになる前から結構ぶっ飛んだことしてます。
 嘉藤はそれを見てまだ下は作ってない…と確認し一安心してましたが、惣一としては不可抗力とはいえタマは残ってるものの竿はなくなり怪我の功名とも呼べる状態になった。
 胸もあったらいいなと思ったら付いてて、下もなくなればいいと思ったらなくなってた。子どもができた。男の子だと思う。などと、かつて聡明であった人から聞くのはどうしようもなくしんどい言動の数々にやるせない気持ちでいっぱいになります。


 これには咎狗の淫靡EDを彷彿させられましたね…淫靡たんのようなゾクゾクする感じ久しぶり!滅多なことを言うもんじゃありませんね…でも嫌いじゃないんです…。一番好きなのは車椅子EDなんですがどれも人格保ててねえ!どちらも因果応報というか、いや淫靡アキラは完全に被害者のBAD EDですけども。これまで何人も手にかけてきてそれ相応の報いを受けているのかなとも思いました。

 通常なら男の象徴をなくすって屈辱以外の何物でもないと思うんですが、なりふり構わないほど惣一は嘉藤を愛してやまなかった。
 結果、男か女かよくわからない生き物になった惣一をとっくに放っておくことはできなくなった嘉藤。組織を離れて二人だけで生きていく……
 ああなんてきれいなハッピーエンド!二人が想い合ってさえいれば幸せ。肉体の生き死にに関わらず。(それを人はメリバと呼ぶ。)
 『灰の月』『月に笑う』のスピンオフ作品だったんですね、あとがきで知りました。こちら単体でも問題なく読めます。問題ないどころか受の惣一と攻の嘉藤のキャラ立ちは然ることながら、作中いくつか起きる事件のエピソードも濃いのなんの。短編を何本も読んだ気持ちになります。

 このほかにも設定もりもりで、全部に言及してたら原稿用紙何枚分になるんだ?ってくらいボリューム出そうなので今回はこの辺で。備忘録に箇条書きであらすじと印象に残ったエピソードを最後に連ねます。


 ・惣一はディルドでないとイケない体で彼女にはペニバンを使わせて事に及んでいた
 ・警護が手薄になったのを狙われ逆恨みされた敵対組織からのモブレ
 ・それをきっかけに性癖を自覚するとともに人間不信に陥り彼女とも別れる
 ・外泊を余儀なくされた際ディルドがなくて代わりに嘉藤を代用させようと命令
 ・すごく気持ちよかったのにそれ以降相手にされなくなる惣一、男をカネで買う
 ・激しい男遊びは組からの評判も悪く組長がほかの組の娘と見合いをさせる
 ・蓋を開けてみれば超の付くビッチのアル中女で嘉藤にも色目を使った
 ・ベッドインしたものの惣一は嘉藤を呼びつけ3P中に女を罵り本性を出す
 ・行き過ぎた惣一の言動に愛想を尽かし頭を冷やせと言わんばかりに嘉藤は大阪へ
 ・組長が殺された折、2年間惣一のもとを離れていた嘉藤が戻ってくる
 ・元の落ち着いた様子になっていたと思えば惣一には胸が付いていた
 ・一度だけと言って再び嘉藤は惣一を抱く。ようやく気持ちに変化が現れ始める
 ・幸せムード漂ってたのも束の間、義理事の最中惣一の行方が分からなくなる
 ・半年間探し回ったが見つからず周りから目を覚まして現実を見ろと言われる嘉藤
 ・またしても敵対組織に捕まりヤク漬けにされ裏モノAVに出演させられていた惣一
 ・やっとの思いで見つけたのに間一髪でち●こは切り落とされ、それを食うモブ
 ・クスリは抜いたものの後遺症は残り、惣一は常にふわふわしている状態に
 ・とても組を率いる状況ではないと、療養と称して嘉藤は惣一を連れて東京を出る
 ・北海道で漁師として働く嘉藤。猫と戯れる惣一。組とも一切の連絡を絶つ。


 これはひどいですね。誉め言葉ですよ。山藍紫姫子先生好きな人には読んでほしい一冊です。893・陵辱・言葉責め・3P・モブレ・ふたなり(?)等々にピンと来たら是非。というわけで久しぶりに御本の感想でした!しかも発売日に買っておいて半年以上過ぎてから読むなんて今までにない。絶版の本を読み漁っては感想書いてたけど…。では長くなりましたが本当にこれでおしまい。

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MW/手塚治虫 感想

 『MW』、昨日買って一気に読んでしまいました。内容結末に触れています。ネタバレご容赦を。
 
  “「MW」を全世界にばらまくため、次々と罪を重ねてゆく男と、それを阻止しようとする神父。愛し合いながらも、彼らは闘わねばならない。作者には珍しいピカレスク物が大迫力で描ききられる。”小学館のあらすじより

 すごかった。語彙力のかけらもなくなるほどには。
 賀来神父と澄子さんに関してはお気の毒ですが、あの男に魅せられたからにはどうしようもありません。
 神父さまが警察に事実を話していたら?澄子さんにしたって同じです。

 かつらにしろネックレスにしろ、犯人は足のつくものを手元に置いていました。しかし目黒検事の言う通り彼は自信過剰であり、それらを実行するのに相応しい能力を備えていたのです。証拠がなければ手も足も出ません。

 ところで、モノマニア的な自信過剰人間とはどういう意味か?無知なもので調べてみました。
  “モノマニア──一つのことに異常な執着をもち,常軌を逸した行動をする人。偏執狂(へんしゆうきよう)。偏狂。”『三省堂 大辞林』より
 なるほど確かに、MWに執着する結城はモノマニアそのものです。

 彼は幼いころMWガスを浴び、島内で惨事を目の当たりにして心身を蝕まれました。
 ここだけ切り取れば、悲劇のヒーローが悪の政府に立ち向かう勇敢なお話です。が、それだけで終わらないのが巨匠……ということなんですね。

 そもそも何故急にこの作品を読もうと思ったかというと、ニュースでオリジナル版が発売されるのを知ったからです。あらすじを見て、これは読むしかないと直感しました。

 このブログの数少ない読者さまならお察しでしょうが、“SFサスペンス” “同性愛” “神父"と聞いて黙っていられるはずもなく本屋巡りの末やっとこさ手に入れたのでした。大型書店でないと意外と置いてないものです。密林さんにお世話になってないタイプの人種なので……。

 閑話休題。
 天下の手塚先生、一般向け雑誌掲載ということもありさほど濃いものは期待してなかったのですが、がっつり同性愛描写がありました。
 第1章から賀来神父と結城美知夫の交わり(を示唆するもの)があって、エッいきなり!?と驚いたものです。

 その後も勤め先支店長の娘である美保、元は賀来神父を好いていた澄子、ガス漏出事故を隠蔽した議員の娘・美香、某国中将ミンチ夫妻、飼い犬の巴とまで!澄子が思わず悪魔と称したのにも頷けますし、それ以前に賀来もメフィストフェレスと呼んでいますね。


 いろいろな貌を巧みに用いて人々を翻弄するさまは、鮮やかとさえ言えるほどでした。もはや目的のための手段なのかその逆、あるいは両方……。結城のなかにある“欲”を満たす道具でしかないのかもしれません。賀来神父すらも。

 ただ、神父さまだけは最期まで特別だったと思いたい。賀来が神父を辞めたとなれば、これまでみたく神の教えに背くなどと言わず行動に際限がなくなり、結城にとって不利に働くので全力で阻止したり、「あんたとはケンカしたくないがね やむを得ない時は 覚悟をしてもらう」とも言っています。

 また、最終話で賀来がMWを手に海へ身を投げたときには唯一涙を見せました。あれは真実の涙と受け取ってもいいのでは、と考えます。猟奇殺人を繰り返す結城の拠りどころ。ことの始まり。一蓮托生……とは言ったものの結城は兄と成り代わり生き延びていますがあのようすでは先は永くないでしょう。

 真実といえばミンチ中将を足蹴にしながら、「この俺にガスをかがせて一生をだいなしにして 尻ぬぐいをさせた奴はどこのどいつだ!!」と言っていたのは少なくとも本音が混じっていたかと思います。実際のところはわかりませんし、賀来にも復讐ではないと言っていたので五分五分くらいかと解釈しました。
  女装とか入れ替わりとか、あれだけ次々殺しをはたらいてそんなに上手くいくもんじゃあないよと思ったらそこまでなんですが、物語を通してそれをやってのける頭脳と狂気が結城にはあると感じさせるところが流石としか言えません。

 最終的に、彼に歌舞伎の女形である兄がいたことがあんなにも重要になるとは思いもしませんでした。飛行機内でもみ合った時点でアレ…?と疑問でしたがよもや。作中、兄・玉之丞の名を出して何度も悪事に利用しており、因果応報時は来たれり!……と思いきやな結末だったので溜め息ばかりもれました。
 
 何が悪で何が正義なのか?そんなものは誰にも決められない、わからない。MWによって人生を変えられた人たちのお話。

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プロフィール

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